先週、クラウド名刺管理のSansan株式会社さんで開催された『最新事例から学ぶ!モバイル向けテスト手法勉強会』に参加させていただき、また「テストの種類とBDD」と題してお話してきました。
テストの種類とBDD
どうしても前提となる話が増えてしまってテスト実装の話まで入れられませんでした。このプレゼンがつまらなくても、テストのことは嫌いにならないでください。
後半は、BDDか、テクニック的な話(テストダブル、テストファースト、TDDとか)にするか迷ったのですが、今回の感触だとテクニックの話のほうがよかったかも知れません。しかし元々20分ギリギリ話すつもり&電エースの話をしすぎた結果、BDDの部分は全部飛ばすはめになった今となってはどちらでもよかったですね。
テストのテクニックに関しては、拙著『iOSアプリテスト自動化入門』の2.3、2.4に書いてありますので、そちらを参照頂けましたら幸いです。
なお、BDDのところで紹介しているテスト自動化ツールの連載は、昨日第6回が公開されました。
ほかの方々の講演
聴講メモが混ざってしまっていたので、以下まとめて全体の話として書きます。
テストを書いてるひとはまだ少ない
- UIのテストを過剰に自動化しようとする(そして挫折する)よりはいいと思います
- 岸川さんの話にあったように、モデル(MVCのM)を中心に、ユニットテストは自動化していったほうがいいでしょう
- ただし、「6〜7割実装してからテストを書きはじめる」のはテストを書いたことが無い人が真似しようとしても難しいです。テストしやすい実装になっていないと、テストを後から書くのは困難なので。
- ユニットテストのメリット、運用(岸川さん)
- 変更を入れる際の安心感
- テストはgreenな状態を維持する
- カバレジはあまり気にしすぎない。テストを書くモチベーションになるなら使う
- ユビレジさんの場合、サーバサイドで80%、クライアントは全体で15%、ViewControllerを抜いて25%くらい
ビルド、AdHoc配布までの自動化は進んでいる
- テストはまだなくても、CIサービスを使ってビルド、AdHocでテスター向け配布までは自動化している
- ブランチモデルにgit-flowを使い、developにマージされるごとにビルド・AdHoc配布
- スプリントのQA期間など、5〜10/day以上になり、ビルド待ちが発生することも多い
- CIサービスとしては、Circle CIが多く、次いでTravis CI
- AdHoc配布は、Fabric.ioが多い
- 自動化にはfastlaneが便利
- ビルド、テスト実行(xctool)、署名、AdHoc配布などのコマンドは、fastlaneを使うと便利
- KrauseFx/fastlane · GitHub
- チャットでコントロール
- Hubotに"release"を指示すると、リリースブランチを切り、PR、Travisでビルド、配布が流れる
- チャットにログが残るので、可視化、かつ、作業単位での分担・引き継ぎが容易
Xcodeプロジェクト
- プロジェクトをcheckoutしたらすぐビルドできるように。プロジェクト固有ルールでの初期設定はなくす。CocoaPodsのようなデファクトを積極的に使う
- Target、Configurationがたくさんあるとどれを使うべきかわからない。Schemeもたくさんあるとわからない。
- 依存ライブラリのコードをプロジェクトに混ぜない。CocoaPodsを使えばlockファイルで差分もわかる
- なお、"混ぜない"は、プロジェクト内で修正を入れたりしないことが重要で、Podsから取得したコードをバージョン管理に含める運用の是非ではないです。
Android
- Google Playの段階的リリースを使用している
- 引き継いだ時点でテストコードなし
- 最低限のリファクタリング、オレオレDI
- JUnit4, Mockito, Espressoを使用
- Robotiumを使用
所感
- 過剰にUIのテストをしよう!みたいな雰囲気でなくて良かった
- ビルド・配布から自動化に手を付けるというのは、良い傾向
- とは言え、あとからテストを書くのは困難なことが多いです。CIを導入しているなら、サイクロマティック複雑度を計測して酷いものからリファクタリングしていくアプローチもあり。『iOSアプリテスト自動化入門』の8.2あたりが参考になるはず