DMM.make AKIBAにて行われた、PANORAさん主催の『第2回開催!! FOVE体験会&トークセッション』に行ってきました。
https://atnd.org/events/67494atnd.org
FOVEは、現在Kickstarterでクラウドファンディングを行なっている視線追跡ができるVRHMDです。Backer募集はあと60時間ほどで締め切られ、また締切後の一般販売はしばらく後になるそうです。気になっている方はお早めに。
https://www.kickstarter.com/projects/fove/fove-the-worlds-first-eye-tracking-virtual-realitywww.kickstarter.com
FOVE体験
受付でもらった整理券が6番だったので、トークセッションに先立って実機でデモを体験しました。装着した感じ、とても軽く感じられました。
デモの最初に視線(瞳孔?)をキャリブレーションするプロセスがあり、視界の周囲を、左上、右上、右下、左下、と緑の点が表示されるのを見つめます(まばたきしてはダメらしい)。
デモは宇宙モノのシューターで、自分の位置は固定、視線の方向に弾が発射されるというもの。視線追跡のスピードと精度は十分確認できました。 頭を素早く動かしたときの追随性も問題なさそう。ただし、デモの作りにもよるので単純に他と比較できるものではありませんが。
FOVEの紹介
FOVEのCEO小島由香さんによるFOVEの紹介。以下、簡単なメモ。
- VRの世代として、presenceの世代、controlの世代と来た(イマココ)。そしてexpression、感情表現ができるのがFOVE
- parallax error==左右の視差のため、咄嗟にエイムできない
- FOVEは、FPSのほか、キーボードをタイプする用途にも使える。1cm角くらいは認識できる
- 見ている部分だけ解像度を上げることで、1/6くらいの負荷低減が見込める
- 用途は、わかりやすいのはゲームだが、ALS患者(末期だと眼球と脳波しか入力に使えない)、筋ジストロフィー患者
トークセッション
FOVEのCEO小島由香さん、CTOのロキ(ロックラン・ウィルソン)さん、週刊ASCII初代編集長の福岡さんによるトークセッション。以下メモ。
1. なぜFOVEを作った?
- 元々、PS VITAのフロントカメラで表情を取るところが原点。そこからアイトラッキングに
- 企画をスタートしたとき、VRはここまで流行っていなかった
- 1995年に『CAPE X』というVR雑誌を創刊。9冊で休刊*1(福岡さん)
2. ハードづくりで技術的に難しかったところは?
- はじめはハードを作る気はなく、iPadとソフトの組み合わせで考えていたが、精度や画面サイズなどからHMD制作へ。試作は既存製品に穴を開けて改造
- 小ロットで部品を調達するのは難しかった。日本企業の方がそのへんは協力的。面白そうなものには協力してくれる。
- アメリカはお金は集めやすいけど、部品調達は日本のほうが楽。SFは家賃も高い。
- Kickstarterのコンバージョン率は日本の方が高い
- 視線は、瞳孔を赤外線で拾っている。可視光をブロックすることで精度を上げている。
- 黒目を追跡==black spot tracking
3. 目線追従ってどんなことに使っていきたい?
- ピアノを弾く少年のVTRのように養護施設への提供(Just giving project)、年内には実機が配られる予定
- 軍事、ドライブシミュレータ。ドライバーがどこを見ているかを後から収集・解析できる
- お店の陳列のA/Bテストを簡単に行える
- ドローンの操作。ただし視線誘導の問題として、衝突しそうな障害異物を見てしまって、そちらに飛んでしまう
- 犬、猫は人間より視野角が広いので、その疑似体験
- 自閉症の人は他人の目を見るのが苦手なので、克服する訓練に使う
- MITで面接シミュレーションの研究がされている
4. 開発にあたって他のVRHMDと異なる注意すべき点は?
- 基本はUnity、Unreal Engineでも作れるはず
- 全てがくっきり見えるのはVR的にはよくない。ピントが外れているところはぼやけるのが現実に近い
- ピントの合っているものの情報を表示する(攻殻機動隊みたいに)
- 片目をつむるとズームするなどの工夫も
5. VR業界は今後どうなる?
- 90年代、ヒッピー、LSD、VR、みたいな流れ。NASAでも研究。これらが合流したのが97年くらい。当時で2〜3千万円くらいの機材
- 当時の問題は、解像度、コスト
- 最近は酔わないVRコンテンツのノウハウも溜まってきている
- personal/consumerのVR
質疑応答
- アイトラッキングでできること → ウィンク、まばたきも取れる
- 瞳孔の収縮をトラッキングできるか? → 瞳孔の大きさとして取得はできるが、明るさなどの要因もあって難易度は高いと思う
- 外見デザインのこだわりは? → (CEOが)女性なので、つけて格好いいもの、シンプル、ミニマルな、無印良品的な。製品版はもっと小さくできる
懇親会でロキさんに伺ったこと
- SDKは筐体より早め、あと3ヶ月くらいで出せると思う。早めに出して開発者の意見を取り入れたい
- フォーカスと解像度の連動は自動ではなく、シェーダでフォーカス範囲を取得して解像度を判断する処理が必要。サンプルのシェーダが付くので、それを参考にできるはず
*1:懇親会で聞いたところ、当初月間、途中から隔月刊