フォトグラメトリツールの紹介・比較をしていくつもりはないのですが、例外としてひとつだけ。iOSおよびAndroidで動作するQloneというアプリについて。
対象は小さい物体に限りますが、ガイドに従ってスキャニングし、クラウド上で3Dモデル生成までやってくれるアプリです。アプリ自体は無料で使えますが、生成された3Dモデルをobjなどの形式にエクスポートするのに課金が必要です。
フォトグラメトリについてや注意事項などについては、前回の記事を参照してください。
スキャニング
撮影には、専用のマットの印刷が必要です。これはアプリから直接AirPrintか、pdfファイルを取得して自分で印刷します。被写体をマット上に置いて撮影するのですが、A4サイズのマットで高さ10cmくらいのフィギュアが限度です。
A3サイズで今回の被写体(高さ17cm)がなんとか収まりましたが、それでも上部のえんぺらあたりがキレイにスキャンできませんでした。
また、被写体の向きを変えて(フィギュアを倒して)もう一度スキャンすることが推奨されていますが、A3マットの場合スキャン中に数回(恐らくメモリ不足で)アプリが落ちたので、今回は1回だけスキャンしています。
これで、148,343頂点、581,760ポリゴン、テクスチャは2048x2048が1枚です。
エクスポート
エクスポートは、スキャンしたモデル単位にアンロック権を購入する形式で、1モデル¥120から無制限¥2,400まで。obj, stlのほか、iOS 12から使えるUSDZ形式*1にも対応しています。
なお、アンロックはモデル単位ですが、アプリ内でモデルの複製を行なうと権利もコピーされます。
また、Sketchfabへのエクスポートも可能です。アンロックしていないとダウンロードできない設定、アンロックしているとダウンロード可能設定でアップロード・公開されるので注意。 SketchfabのProアカウントでは試していないので、privateにできるかは未検証です。
エクスポートしたモデルをBlenderで見るとこんな感じ。テクスチャは余りキレイではないものの(これは撮影環境の問題も大きい)、メッシュはそれなりに取れています(うまく辻褄を合わせている、が正しい気もしますが)。
胴(頭足類なので)の上のほう、えんぺら周辺のメッシュが荒いのは、恐らくA3サイズマットでの限界なのだと思います。
リサイズツール
Qloneにはある程度の加工ができるツールも実装されています。例えば、編集 - RESIZE - Simplifyでポリゴン数の削減もできます。
削減前1(148k頂点、582kポリゴン)
削減後1(62k頂点、174kポリゴン)
かなりメッシュの大きさにばらつきがありますが、自動でやってくれます。3DF Zephyrのリトポロジー機能と違って触手の先などのエッジはキープされるようです。
削減前2(148k頂点、582kポリゴンのはずですが表示がおかしい)
削減後2(34k頂点、100kポリゴンくらいのはずですが表示がおかしい)
その他のツール
テクスチャのペイント、スカルプティング機能もありますが、やはりスマートフォンでの操作には限界があると思いますので、素直にPCのツールでやるほうがいいでしょう。
ほかに、ボクセル化の機能もあります。
所感
意外とメッシュは取れていて驚きました。モデル単位の課金というのも使いやすいですね。PCでのリトポロジーやレタッチ前提で、メッシュのアタリが取れるクオリティでいいといった条件では十分実用的ではないでしょうか。
ただ、大きめの被写体にはそれなりのサイズのマットを印刷して用意する必要があることと、大きくなるほどアプリが落ちやすい*2のが難点です。
参考
- メディア: Prime Video
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